シスコン王子とブラコン姫

「あ...でもすぐ外国戻るって
言っていたようなー...。」

悟は後頭部をかきながら
モジモジしている。
まるで子供みたい。

「ぶはっ。」

ついふきだしちゃった。

「なっなんだよ!」

「悟可愛かったんだもん。はあー。
やっぱり落ち着くな。」

私は両手を広げて空気を
思いっ切り吸った。

「沙菜、ここら辺空気汚いぞ?」

「悟のいる空気は何でも
落ち着くからいーのっ♪」

悟が帰ってきてくれた。
私の隣にいてくれる。
笑っていてくれている。
それだけでもう十分私は嬉しい。
けど...うららちゃんにも
少し悪いような気がする。

変な...私─。

♪♯♭♪♯♭♪♯♭

携帯が鳴った。
私の携帯かと思ってみたけど
光ってない。

「あ、俺のだ。」

悟は携帯を出して電話に出た。
私たちは着メロを一緒に
しているんだった。

だから時々間違えちゃう。
そんなのが嬉しかった。

「...え─!?」

悟の顔がどんどん真っ青になっていった。

「...うん、分かった。じゃっ。」

悟が電話を切ったのを確認して
私はすぐに悟に問いかけた。

「どうしたのー...?」

「...うららがホテルの部屋に
閉じこもって出てこないらしい。」

「え─...?」

「俺に...今すぐ会いたいって
うららが言っていて─...「行くの?」

「え...?」
< 211 / 283 >

この作品をシェア

pagetop