シスコン王子とブラコン姫

.....

「悟ちゃんっ♪」

大きく手を振るうららを
見つけて俺は駆け寄った。

「ばかやろうっ!お前は
何を考えているんだよっ!」

「...わかんない。その時思ったまま
生きているから。よくないことだって
分かってるけどどうすることも
できないの。ねえ、悟ちゃん。
私がここにきているって誰にも
言ってないよね?」

「ああ...。」

「よかった。」

うららはホッと息をついた。

「...これからどうすんだよ。」

「バレるまで悟ちゃんと一緒にいるよ。」

「ふざけんなよ。お前はちゃんと
帰っておじさんのそばにいてやることが
一番だろっ。」

うららが急に下を向いた。

今のうららにおじさんの話を
するのはよくなかったのかもしれない。

「...どうせ目が覚めないんだから
一緒にいたって意味ないよ。」

「そんなことねえだろ。少しでも一緒に
いたほうがいいに決まってる。
周りの音は聞こえてるってドラマで
見たぞ?」

「何も知らないくせに知ったような事
言わないでよっ!悟ちゃんには
分からないよ?あたしはね、1人ぽっちなの。
分かる?分からないでしょ?
だからあたしのそばにいてよ。」

俺たちを横切る人は必ず俺たちを
見る。周りは恋人が喧嘩しているんだと
勘違いしているだろう。

「...うらら、とりあえず帰ろう。」

うららの手を握ると離された。

「うらら...?」

「やめてよ...。そういうの。簡単に手とか
つながないでよ。」

「はー?今更何言ってんだよ。ちっちゃい頃から
ずっと手つないでいただろ?」

「...そういうの勘違いしちゃうのっ!」

勘...違い?
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