シスコン王子とブラコン姫
うららは薬指を指差しながら
口を尖らせていた。
「えー...?お姉さん指ー...?」
「そうっ!ほら、はやくっ!」
俺はゆっくりうららの薬指に
指輪をはめた。
「やったやった♪」
うららは、大喜びで指輪を
眺めていた。
「ねえ、うららちゃんっ。大人になったら
悟と結婚しよ?本物の指輪を
買ってあげるよ。」
「ほんとにー?」
うららは怪しそうに俺を
見ていた。
「うんっ。ダイヤモンドの指輪を
たっくさーん買ってあげるよ♪
100個買ってあげるっ♪」
「そんなに買えないよー。」
「買えるよっ!」
「ダイヤモンドは高いんだよ。」
「じゃあ、悟がダイヤモンド買える様に
なったら結婚してね?」
「─うんっ♪」
小さい頃は...あんな言葉を
簡単に使っていた。
結婚だとか...
簡単に指輪をはめて遊んでいた。
.....
「あたしだけ...おいてかれたね。」
うららは無理矢理作った笑顔を
俺にみせてきた。
「え?」
「あたし...あの言葉...ずっと
信じていた。悟ちゃんこんなに
大人になっちゃったなんて知らなかった。
おいてかれちゃったね。へへっ。」
「.....。」
何て言ったらいいんだろう。
「悟ちゃんを見たときびっくりしたよ。
後ろ姿なんて男って感じだし...
可愛い彼女つれて海に
いるし...あたしのしらない悟ちゃんが
海に立っていてびっくりした。」
うららー...。