シスコン王子とブラコン姫

「沙菜。ツライのはお前だけじゃ
ねえんだよ。うららちゃんの気持ちは
今一番分かってやれるのは、俺と
沙菜だけなんだよっ!
沙菜が悟とずっと一緒にいてえ気持ちも
すっげえ分かるけど少しは理解してやる事も
大切なんじゃねえのか?」

私が...何を理解すればいいのよ。

「沙菜は、みんなに甘えすぎだ。
沙菜が中心でみんな沙菜の
言う事を聞いてくれねえんだよ。
分かってるだろ?」

何よ。おにいまで.....。
私が中心で世界が回ってるわけない。
そんなの誰だってわかるよ─。
だけど...だけど.....。

「おにいにはわかんないよっ。綾乃と
上手くいきすぎてるからっ!
でも私はすっごくすごく不安なの。
悟がいなくなっちゃったりしないかって
不安なんだよっ!」

つい興奮して私はおにいに
怒鳴り上げてしまった。

「...沙菜だけじゃねえよ。
不安な気持ちは─。」

おにいは急に悲しそうな顔をした。

「俺と綾乃は、そんなの上手くいってねえよ。
沙菜たちのように...何度も何度も
ぶつかった。だけど─...
俺は、綾乃のことを信じ続けて
諦めなかった。だって俺には綾乃が
いなきゃダメだから─。
何度綾乃を傷つけたか分かんねえよ。
何度も何度も同じ失敗したけど
けど...絶対俺たちは諦めないで
お互いを信じたから─...
今があるんだって思っている。
未来を作るかどうかは...2人の
問題なんじゃねえの?」

私は、何も言う事ができなかった。

「相性もあると思うけど...
だけどやっぱり信じて諦めないことが
俺は一番だと思うけど...?」

「じゃあ...私に黙ってみてろって
言うの─.....?」

そんなに私は出来た人間じゃないよ─。

「そうじゃない。邪魔してもいいじゃん?
だけど...信じることは忘れるな。」

おにい─...。

私の瞼がどんどんあつくなってきた。

「泣き虫だなー。沙菜は。」

「だってえ~.....。」
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