シスコン王子とブラコン姫

悟Side

─プルルルル

朝から沙菜に何度も電話をしているが
出ない。
もう10:00。
授業が始まっているはず...。

今日はうららを執事さんのもとまで
送っていくことにした。
だから沙菜に連絡を入れようと
何度も電話をしているが
全く電話にでてくれない。
怒ったのは当たり前。
言い過ぎたから。
このままうららを送るのは
なんだか嫌だ。

沙菜はちゃんと学校に
いったのだろうか─...。

「悟ちゃん...。さっきからずっと
誰に電話しているの?」

姉ちゃんの部屋着を借りて着ている
うららがドアからこっちを
覗いている。

「あ─...いや。なんでもねえよ。
そろそろ着替えて行くぞ。」

「...行かなきゃだめなの?
まだいたいよ...。」

うららが寂しそうな顔で俺を
見つめている。

「...うらら。うららの父さんだって
今はうららがいなくて1人なんだから
寂しいはずだろ?今が一番大事なとき
なんだからお前がそばにいてやんねえで
どうすんだよ。」

するとうららの顔が急に暗くなった。

「悟ちゃん。それってどういうこと?」

「は?」

俺は、少し苛々してきてうららに
冷たい言葉ばかりぶつけてしまう。

「悟ちゃんさ、今一番大事なときって
言ったよね。一番大事なときってことは
お父さん死んじゃうってこと?」

「違「じゃあ、どんなときなの?」

うららの目には涙がたまっている。

「...帰ろう。うらら。」

俺は、うららの頭を撫でた。
< 224 / 283 >

この作品をシェア

pagetop