シスコン王子とブラコン姫
悟Side
─プルルルル
朝から沙菜に何度も電話をしているが
出ない。
もう10:00。
授業が始まっているはず...。
今日はうららを執事さんのもとまで
送っていくことにした。
だから沙菜に連絡を入れようと
何度も電話をしているが
全く電話にでてくれない。
怒ったのは当たり前。
言い過ぎたから。
このままうららを送るのは
なんだか嫌だ。
沙菜はちゃんと学校に
いったのだろうか─...。
「悟ちゃん...。さっきからずっと
誰に電話しているの?」
姉ちゃんの部屋着を借りて着ている
うららがドアからこっちを
覗いている。
「あ─...いや。なんでもねえよ。
そろそろ着替えて行くぞ。」
「...行かなきゃだめなの?
まだいたいよ...。」
うららが寂しそうな顔で俺を
見つめている。
「...うらら。うららの父さんだって
今はうららがいなくて1人なんだから
寂しいはずだろ?今が一番大事なとき
なんだからお前がそばにいてやんねえで
どうすんだよ。」
するとうららの顔が急に暗くなった。
「悟ちゃん。それってどういうこと?」
「は?」
俺は、少し苛々してきてうららに
冷たい言葉ばかりぶつけてしまう。
「悟ちゃんさ、今一番大事なときって
言ったよね。一番大事なときってことは
お父さん死んじゃうってこと?」
「違「じゃあ、どんなときなの?」
うららの目には涙がたまっている。
「...帰ろう。うらら。」
俺は、うららの頭を撫でた。