シスコン王子とブラコン姫

うららに何もいえないから。
ただ優しくうららを受け入れている
フリをすることだけが
今の俺が出来ることだった。

正直いってうららがすごく
怖かった。

何をしだすかわからない。

このまま...死んでしまうかもしれない。

俺がうららを1人にしてしまうかも
しれないから─...。



─────

『はあ?じゃあ、あんたいま
どこにいんのよっ!』

昼休みの時間に姉ちゃんに電話を
かけた。

「ん。今、駅。沙菜電話でてくんなくてさ。
電源切っているらしいからさ。
沙菜に伝えておいて。
ごめんって。」

『...それは、自分の口から
言った方がいいんじゃないの?』

「電源切れて電話繋がんねえから
頼んでんじゃんかよ。とにかく
頼むからな。」

『はあ?そんなこと頼まれないわよ。
とにかくさっさとけりつけなさいよ。
あんたが一生うららちゃんの面倒
みるわけにいかないのよ。
正直言うと私は最近のうららちゃんが
すごく怖い。あと嫌いになった。』

「...姉ちゃん冷てえな。昔は
おままごと勝手に自分家に持って帰ったり
してたじゃねえかよ。」

笑いながら冗談を言ったつもりだったけど
姉ちゃんは笑いもしなかった。

『...悟。今あんたができることは、
何にもないと思う。うららちゃんのそばにいて
変な同情したって何にも意味ないって。
分かる?あんたは、遠くから見守ってれば
十分だってこと。』

「そんなことできたら...
こんなことしてねえっつーの。」

『さと ─ブチッ

俺は、強引に電話を切った。
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