シスコン王子とブラコン姫
「悟ちゃん...どうしたの?」
隣からうららは心配そうな顔で
俺を見ている。
「あー。何でもねえよ。あ、
電車来たし乗るか。」
「...悟ちゃんは、今日あたしを
送ったからかえるの?」
「...学校あるから仕方がねえだろ?」
「うん...。ねえ、悟ちゃん。もしも
私と沙菜ちゃんが崖から
落ちそうになっていたらどっちを
助ける?」
「...?」
いきなり変な質問をされて
頭が回らなかった。
「ねえ、どっちを先に助ける?」
「それは─.....。」
答えなんて決まっている。
心のそこから大好きな沙─...
『悟ちゃんっ♪将来うららと
結婚しようねっ♪』
ふいに小さい頃の幼いうららと俺の
言葉が頭にうかんでくる。
「悟ちゃん...答えれない?
私は、答え分かってるから傷つかない。
だから...答えて。」
「.....選べない。」
「え?」
「俺は...選べないよ.....。」
俺は、その場でしゃがみこんだ。
「悟ちゃん─っ.....。」
うららは、後ろから俺を抱きしめてきた。
振り払いたいのに...
うららに全てを奪われたような気がして
身動きができなかった。