シスコン王子とブラコン姫

沙菜Side

「沙菜.....。」

放課後。うかないかおで
綾乃が近づいてきた。

綾乃の顔を見ただけで分かった。
悟のことだ。
言いにくそうな感じ。
綾乃は関係ないのに...迷惑かけて
悪いなって気持ちと恥ずかしい気持ちで
胸が痛かった。

「綾乃、いいよ。気使わないで言って。」

「っ...うん。...悟ね、
またうららちゃんと田舎に戻ったの。」

「え.....?」

予想もしていなかったことに...
驚きを隠せない自分がいる。

「悟は...どこまでばかなんだろうね...。」

綾乃も涙をこらえているようだった。

「...もういい。」

「え?」

「っ...もういいよ...。もう十分...。
私は...1人で大丈夫。」

「沙「お願いっ!1人にさせてっ。」

私の肩にのった綾乃の手を
振り払って私は校舎から出て行った。

あまりにも恥ずかしくて...
情けなくて...自分がどうでもいい存在に
思われているような気がして...
辛くて寂しくて...
消えてしまいたかったからだもん。

悟─。

どうして彼女の私じゃない...
うららちゃんにそんなに優しくするの?

悟は...
誰を愛しているの─.....?
< 227 / 283 >

この作品をシェア

pagetop