シスコン王子とブラコン姫

─────

─トントン

何時間もずっと部屋に閉じこもったまま
大音量で音楽を聞いている。

だけどドアのほうからはわずかな
小さな音だけどノックの音がやまない。

私は、仕方がなく音楽を止めた。

「沙菜っ!いい加減にしろっ!父さんも
帰って来てるんだから顔くらい見せろっ!」

おにいの声が響く。
今は、そんな心配してくれてる声も私にとっては
雑音─...。

「っ...今は誰の顔も見たくないのっ!
だから放っておいて!」

「んなことできねえから呼んでたんだっ!
一度部屋から出て来いっ!
あと携帯の電源つけろっ!」

さっきから携帯の電源を一度もつけてない。
つけたら悟からの電話で
鳴り続くからに決まってる。
だけど.....

私は、ゆっくり携帯の電源をつけた。

そして新着メールを問い合わせた。

メール履歴をみると悟と表示されたものばかり。

一体どれくらいメールをしてきたの?

【沙菜。ごめん。ゆっくり話がしてえ。】

【ごめん。メールみてくれ。】

【悪かったって思ってる。】

【顔が見たい。】

【声が聞きたい。】

【頼むから電源つけろよ。】

【電話でろって。】

そんなメールが何通も。

だけど私は、また携帯の電源を
切った。

♪♭ー♪♭ー

電源を切る音が部屋に響いた。

「...沙菜。いい加減にしろよ。」

その音がおにいに聞こえていたらしく
おにいは呆れたような声で
そう言う。
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