シスコン王子とブラコン姫
...
「はぁ...はぁ...はぁ...。」
逃げ込んだ場所はまたここ。
屋上。
誰がカギを持っているのか分からないけど
いつも開いている。
私は溢れてきそうな涙をこらえるために
上を向いた。
飛行機雲が.....空に描かれていた。
このまま手を伸ばせば─...
空にいけそうな気がする。
お母さんのそばにいけるような気がした。
「...何考えてんだよ。私のばかやろー。」
「ばかやろーはどっちだよ。」
「えっ!?」
後ろから声が聞こえてみるとネクタイを
少し曲げた悟が息をきらしている。
「何...で?」
ヒドいよ。こんなの。
忘れるように努力していたのに...
なんでおいかけてくるの?
あぁ。悟はきっぱり別れたいのかな?
彼女気取りされるのが嫌なの?
「...安心して。悟。私は.....
もう忘れるから。」
「...んでだよっ!俺の顔もちゃんと
見ねえで勝手すぎんだよ!
文句あんなら言えっつーの!」
...?何で悟にこんなにキレられなきゃ
いけないのよっ!
「...言いたい事なんてないっ!
ああ...でも1つだけあるかも。
悟のそういうところ大ッ嫌い!
いつも自分勝手で...ヒドいよ。
悟は...悟は勝手だよ。
せめて...せめて...うららちゃんを
通したくなかった!
言いたい事があるならちゃんと
言って欲しかった!」
「沙菜ッ?!「うるさいッ!」
そう言って私は屋上から
出て行った。