シスコン王子とブラコン姫

「...はぁ...はぁ...はぁ。」

息が苦しくなって図書室まで行って
しゃがみこんだ。
誰もいない─。

ゆっくり椅子に座る。

「...うぅ...何...なの?」

悟の言っている事がわかんないよ。
悟は何も分かってくれない。

意味わかんない。
どうしておいかけてきたの?
そしたらどうしていま私を
引きとめてくれなかったの?

私は...本当は今ここに
逃げたかったわけじゃない。

悟に腕を掴まえられて
逃がさないでほしかった。
いつものように優しく笑って
抱きしめてほしかった。

ばかだな。って...
言われてもよかった。

どんな事を言われても...いいから...
つかまえてほしかった。
私を─.....。

でも悟が必要としているのは...
私じゃないんだよね?
うららちゃん...なんだよね?

うららちゃんのあの小さくて
どこかに消えてしまいそうな背中を...
守りたいんだよね?

だから悟は...私を...
選ばなかったんだ─。

「うぅっ.....。さと...。」

絶対呼ばない。
二度と悟なんて...呼ばない。
呼んじゃだめ。

彼の幸せを願うために─。

もう誰の手も頼らない─。

私は彼の雲になりたい。

雲になって...暑いときは
太陽をかくしてあげて...
寒いときや悲しいときは
私が消えてそっと.....太陽を
あびさせてあげるんだ─。
< 239 / 283 >

この作品をシェア

pagetop