シスコン王子とブラコン姫
「...はぁ...はぁ...はぁ。」
息が苦しくなって図書室まで行って
しゃがみこんだ。
誰もいない─。
ゆっくり椅子に座る。
「...うぅ...何...なの?」
悟の言っている事がわかんないよ。
悟は何も分かってくれない。
意味わかんない。
どうしておいかけてきたの?
そしたらどうしていま私を
引きとめてくれなかったの?
私は...本当は今ここに
逃げたかったわけじゃない。
悟に腕を掴まえられて
逃がさないでほしかった。
いつものように優しく笑って
抱きしめてほしかった。
ばかだな。って...
言われてもよかった。
どんな事を言われても...いいから...
つかまえてほしかった。
私を─.....。
でも悟が必要としているのは...
私じゃないんだよね?
うららちゃん...なんだよね?
うららちゃんのあの小さくて
どこかに消えてしまいそうな背中を...
守りたいんだよね?
だから悟は...私を...
選ばなかったんだ─。
「うぅっ.....。さと...。」
絶対呼ばない。
二度と悟なんて...呼ばない。
呼んじゃだめ。
彼の幸せを願うために─。
もう誰の手も頼らない─。
私は彼の雲になりたい。
雲になって...暑いときは
太陽をかくしてあげて...
寒いときや悲しいときは
私が消えてそっと.....太陽を
あびさせてあげるんだ─。