シスコン王子とブラコン姫
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放課後になり俺は足を急がせる。
向かう先はもちろん沙─...
「おい、近づくな。」
教室から沙菜の後姿を追っていると
手首をつかまれた。もちろん手首を
つかんだ相手は裕也。
「...俺は、こんなかんじに
終わりにさせたくねえんだよ!」
俺は必死にふりほどこうとした。
案外簡単にふりほどけたと思ったら...
「.....は?」
裕也は呆然とした顔で俺を見ている。
「なっ何?」
「お前、今何て...?」
「だから...俺はこんなかんじに沙菜と
別れたくねえって.....。」
「はあ?お前が沙菜に別れてえって
言ったんじゃねえかよ。」
くい違う俺達。
一体どういうことだ...?
「俺は、うららから聞いた。
沙菜が俺と...終わりにしてえって。」
間違いない。
俺はちゃんと聞いた。
「...はは、うららちゃんとんでもねえ
女だなー。」
裕也の顔がどんどん怖くなっていく。
「は?」
「まだ分かんねえのかよ。要するにお前の
幼馴染のうららちゃんは最低な子ってわけ。
噓までついて人の男とろうとする
女なんだよ。」
「っッ!?」
驚いて言葉もだせなかった。
うららが噓をつくなんて初めてって
言うくらい滅多にないことだったから。