シスコン王子とブラコン姫
「お前もうららちゃんと距離を
おけ。そんな最低な女なんだから
「そんなことできねえっつうの!」
「.....は!?」
裕也は口を大きくあけて驚いて
俺を見ているがそれ以上に驚いている
自分がいるのが分かる。
でも口が自然と開いて止まらない。
「うららは...俺しか頼れるやつが
いねえんだよ...。俺だけなんだよ...。
うららの気持ちわかるのは。
本当のうららを知っているのは.....
もしいまうららを突き放したら...
あいつはまぢで死んじまうかも
しれねえんだよ.....。
分かってる、分かってるんだ.....。
だから......あとは自分で
けりつけるっ!」
「悟っ!」
俺は鞄を肩にかけて廊下を走る。
途中で色んな人にぶつかった。
けどあやまることすら忘れて
夢中で玄関まで走っていた。
でも、気づいたら足が止まっていた。
「.....っ─...悟...。」
沙菜が鞄を両手で抱きかかえるように
持って1人で待っていた。
「沙菜.....。」
沙菜は今にも泣き出しそうな顔で
俺を見ていた。
「...姉ちゃんと帰ったんじゃなかった?」
こういうときに俺はなぜ
優しい言葉を最初に
かけてやれねえんだろう。
「...綾乃には先に帰ってもらった。」
「.....そう。」
俺は上靴を脱いで外靴に
はきかえる。
「...帰んねえの?」
沙菜にソッと声をかける。