シスコン王子とブラコン姫
イライラする俺の声。
今すぐうららに怒鳴りたい。
けど泣いているうららの声のせいで
上手く言えない。
『ぱぱが...ぱぱ...が...。』
!?
「おじさんがどうかしたのかっ!?」
夢中で大声をだした。
隣にいた沙菜も驚いたような顔を
したがすぐに心配そうな表情で
俺を見つめる。
『...あた...し1人になんか...
なりたくなぃょ...お願い...
来て。悟ちゃん......。あたしを...
1人にしないで...ょ。』
「うら─っ!?」 ─ブチッ
「おい、もしもしっ!?うらら!?」
耳に聞こえる音は電話が
切れた音。
「悟、どうかしたの?
トラブルでもあったの?」
沙菜がまゆげを下げて俺の顔を見た。
『大丈夫だよ』
沙菜に言いたいけど今は.....
「ごめん、今日は送れねえや。」
「えっ!?何で?」
俺は髪をくしゃくしゃにした。
「...うららの父さんに何か
あったみたい。」
「.....そう。」
急に沙菜の声が冷たくなった。
「でも夜には電話するし「どうして?」
「え?」
沙菜の円らな瞳がまっすぐ俺を向く。