シスコン王子とブラコン姫
「早く、ほら、行ってッッ!」
「っっ─.....。」
俺は涙をこらえて走る。
公園の門を通るとき後ろから
泣き声が聞こえたような気がした。
けど気づいたらもう遅くて.....
聞こえないフリをして俺は
走り続ける。
どこに向かっているのかも分からない。
ただ走って走って.....
沙菜との全てを思いだしていた。
このまま...俺達は......
どうなってしまうんだろう。
あの時沙菜の手を握って
沙菜しか見ていなければよかったのかも
しれない。
けど放っておけなかった。
幼馴染という存在も俺の人生には
大切な言葉だった。
沙菜よりかけがえのない存在なんて
ないと思う。
けれど.....
うららもかけがえのない存在だったんだ。