シスコン王子とブラコン姫
こぶしをつくった俺の手がかすかに
震えている。
「...姉ちゃん、俺...。」─♪♭♯♭♪
「っっ.....。」
携帯に表示されている名前は
見飽きた文字のうらら。
姉ちゃんは俺の携帯を睨みつけている。
「だめっ!!」
俺が携帯の通話ボタンを押そうとすると
姉ちゃんは携帯を奪い取って
放り投げた。
「何すんだよっ!?」
「悟、これは間違っている。
悟はうららちゃんの何?
召し使い?恋人?家族?
...何でもないでしょ。
ただの昔からの知り合いでしょ。
だから「どうしてそんな事言えんだよっ!」
俺は珍しく姉ちゃんを叩いた。
姉ちゃんは頬を抑えている。
「...姉ちゃんだってうららの幼馴染だろ?
ちっちぇえころから一緒にいたろ?
うららの寂しそうな背中
今まで一緒に見てきただろ?
だったらなんで......。」
「.....分かってるよ。
...分かってる。悟よりも分かってる。
けど...っ。」
姉ちゃんは言葉をつまらせた。
「...行こ。悟。」
え.....?
「いくよ。今すぐっ!」
姉ちゃんは俺の手をとって家から飛び出す。
「どっどこ行くんだよ?」
「うららちゃんのとこへよ。
あんたが行ったんじゃない。」
姉ちゃんの涙は消えていた。