シスコン王子とブラコン姫

──────

「うららっ!」

金もなく長い時間をかけてバスに乗って
田舎まで来た俺と姉ちゃん。
すぐに病院にかけよってうららの
父さんがいる病室までかけこんだ。
ドアが開いたのと同時にうららの
肩が震えだした。

「さと...るちゃ...ん。」

「っっ.....!?」

ゆっくりうららに歩み寄る。
うららの目からは大量の涙があふれていた。

「っ─.....。」

姉ちゃんは目を瞑って病室から出て行った。

「何だよ...これ。」

俺はおじさんに歩み寄る。

「...起きろよ。おい!おじさんッ!」

おじさんの顔の上には白い布が
かぶされていて見えない。

「うらら置いていくのかよっ!」

どんなに叫んでほえたってビクともしねえ。
だって息すりゃしてねえんだから。

「...悟ちゃん...あたし...あたし...
とうとう1人になっちゃった。」

!?

「そんなことねえ!」

俺は力いっぱいうららを抱きしめた。
抱きしめても抱きしめてもうららを抱きしめている
ような気がしなかったから強く抱きしめた。

「...まだ親孝行してなぃ...噓ついたまま...
パパ...何も知らないで...行っちゃった。
噓ついて最低なことしたから...?
バツなの.....?」

「...違う。違う。」

「じゃあ、悟ちゃん。...あたしのそばにいてくれる?」

言葉が詰まった。
ゆっくり息をのむ。

「...お父さん.....ウウッ.....ーっ.....。」

うららは俺の腕からおちていくように
しゃがみこんだ。
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