シスコン王子とブラコン姫

───

黒い服を着た人達がどんどんと入ってくる。
お通夜─。うららのお父さんの...。

花にかこまれたうららのお父さんの写真を
見てもこの世にいないという
実感はわかない。
この夏まで息をしていたんだから。

「悟.....。」

隣から懐かしい声が聞こえてふりむくと
制服を着た沙菜と裕也がいた。

「沙菜...。」

「大丈夫?悟寝てないんじゃないの?」

「...大丈夫だよ。学校は?」

「...今日は土曜日だよ?悟やっぱり
疲れてるんだよ。」

「...俺は大丈夫だよ。」

沙菜は制服を着ていつもこんな姿を
見ているのに今日は少し大人っぽく見えた。

「...うららちゃんどこ?」

「アイツは...分かんねえ。外で空気
吸いたいとか行って出て行ったっきり。」

「...そう。」

沙菜はそう行って1歩引こうとした。
けどすぐに俺は沙菜を引きとめた。

「今は1人にしてやったほうがいいんじゃね?」

すると沙菜はすぐ声をあげる。

「悟、1人になりたいときもあるけど...
今は1人にしたら1人なんだって思っちゃう。
私...分かる。」

沙菜は目を少し赤くした。
また思いださせてしまった。

「...ごめん。俺も一緒にいくよ。」

「...俺はちょっと母さんに連絡いれてくる。」

裕也と別れて俺と沙菜でうららを
探すことにした。
沙菜がすぐうららを見つけてくれたおかげで
うららの元まですぐいけた。

「うららちゃんッ!」

沙菜はローファーのヒールをカッカならせて
うららの元へかけよった。
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