シスコン王子とブラコン姫

─────

「...あ、起きた?」

「私.....え?」

私はベッドに寝かされていて
悟が私を心配そうに見ている。
手にはぬくもりを感じた。

悟─、ずっと握っててくれたんだ。

「沙菜、いきなり倒れたんだよ。」

「噓.....?」

あの時たしか私は.....
息がつらくなって.....

「っっ───.....!!」

「沙菜っ!?」

悟が心配そうに私の背中を撫でる。

この感覚.....

「ハァ...ハァハァ.....っ─...。」

昔.....体験したことがある。

「...沙菜、昔の事は...もう忘れろ。」

悟が下をむいたまま暗い顔をして
言った。

「.....私は─.....。」

フッと頭に浮かび上がる白い煙。
どこかで見た事があるような。
気の遠くなるような出来事。

辛くて苦しくて寂しくて
このまま死んでしまいたいと思った日─...。

そうだ。あの日だ。




『何で...?お母さん死んじゃったのぉ?』

中学生のあの時私はあの煙を
見て散々泣いた。

そう。あのときだ。





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