シスコン王子とブラコン姫
悟はこのまま執事さんを殴って
しまいそうな勢いにも見えた。
だけどどこかで冷静で
まっすぐ前を見ていた。
「俺は...あんたがいるから
うららがここまで生きてこれたと思う!
あんたは別になんも悪いことは
してねえよ。何変なとこで
責任カンジてんだよ!
たしかに...あんたはミスをおかしたかも
しれねえけど...だったら...
責任とりてんだったら...
1人になったうららの事あんたが
全力で守ってやれよ!」
悟は息を切らしながら精一杯大きな声で
叫んだ。
「あんたはうららの執事だろ!」
そのとたん執事さんはハッとしたように
うららちゃんを見た。
うららちゃんは寂しそうに泣きながら
頷いた。
「そうだょ...あなたは...あたしの
執事じゃない...。」
うららちゃんは執事さんのひざ元を
抱きしめた。
「あたしの...命令聞くのが執事でしょ?」
「...はい。お嬢様。ご用件は
なんでございましょうか?」
「...あたしを1人にしないでください。」
細く震える声でうららちゃんは
呟いた。
「え.....?」
「聞こえなかったの!?だからあたしの事
もう1人にしないでよ!」
すると執事さんはいつものような
優しい目でうららちゃんを見た。
「かしこまりました。」