シスコン王子とブラコン姫

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「あははははッ!だからそんなに頬
腫れてるってわけかー。」

姉ちゃんは目から涙を出すほど
俺を見て笑っている。

「まさか沙菜が本当に殴るとは
思っていなかったもんねー。」

「なっ何よ!」

どうやらうららが沙菜に噓をついて
今夜は一緒に過ごすとか
言ったらしい。
さっきの封筒にはうららから冗談だったことと
謝りの長文があったらしい。

それで姉ちゃんは沙菜に本気で
俺を殴るようにアドバイスしたとか。

おかげで俺の顔はパンパンに腫れている。

「まぁ、悟にもいい薬になったんじゃね?」

隣から裕也が俺の頭を撫でながら言う。

「なっ!おっ俺は心も傷ついてるんだ!
薬どころの話しじゃねえよ!」

電車の中で俺のでかい声が響く。

「.....沙菜もいい加減機嫌なおせよな。」

沙菜は窓側に1人で座ってずっと
景色を睨みつけている。

「沙菜。」

どんなに名前を呼んでも沙菜は
俺のことなんて見ねえ。

「そういえばうららがさー。」

「っ!?」

うららの名前を出すと沙菜はこっちを
向いた。

「お、やっとこっち向いー.....。」

沙菜は俺を睨みつけてからまた
外を向いてしまった。

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