シスコン王子とブラコン姫

悟Side

「スーツなんてなんかウケるな。」

隣の裕也は鏡の前でネクタイを
調整している。

「別に俺達こんなスーツじゃなくても
良かったのにな。」

ボソっと俺がつぶやくと裕也は
顔色を変えた。

「何言ってんだよ!いいか?こんな高い
スーツなんてもう人生で着れるか
分かんねえんだぞ!?
ほら、こういうときは...写メ
撮っとこうぜ♪記念に!」

─バコンッ

裕也は目の前で頭を抑えている。

「お前はバカか!人の婚約式なんだぞ!
お前の婚約式じゃねえんだから!
っておい!聞いてんのかよ!?」

目の前で裕也はまるで女のように
目をキラキラ輝かせている。

その先には...

「綾乃ー///」

「裕也ぁ///」

やっぱり姉ちゃんがいた。

「何だよ、こんな格好しやがって!」

「裕也こそ///」

すっかりラブラブの雰囲気になってしまった。

俺は姉ちゃんの後ろをみた。
誰もいない。

「なあ、沙菜は?」

「裕也かっこよすぎるー///」

「綾乃こそ可愛すぎるだろー///」

...聞いていねえ。

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