シスコン王子とブラコン姫

でも違った。

沙菜は気持ち良さそうに寝ていたわけではなかった。
沙菜の頬には滴があった...。
大粒の涙があった─...。

するといきなり手を握られた。

「いかないで...。」

「沙菜...??」

起きたのかと思ったけど沙菜は目を瞑ったままで起きてはいなさそうだった。

「そばに...いてょ...。また...どっかいっちゃうの...??」

「っっ─...。」

沙菜の目からまた涙がこぼれた。

「なにが─...そんなに辛いんだよ─...。」

沙菜の手をぎゅっと握った。

冷たくて気持ち良い手...。小さくて...でも寂しそうで...

どうしてこの子はたまにいつも寂しそうな目で俺を見るんだろう─...。

この手を絶対離したくない─...。

やっぱ俺─...。

沙菜のことがスキだ─...。

俺がずっとずっと守っていたい...。

そばに─...いたい。

そばにいるだけで伝わればいいのに─...この想い...。
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