記憶〜切愛〜
私は急に名前を呼ばれて頭が真っ白になった。

「鈴音?呼ばれてる」

アンジュが私の腕を突いた。

私はハッとして立ち上がる。

ガタガタと椅子が音を立てて動く。

「あ、はっはい。」

慌てて私は前に出る。

「うちの美術科は受験時に成績が優秀な人を学級委員に選んでいます。

男子は…黒井くん前へ」

私が前に立つと次に男子が立ち上がる。

メガネのあきらかに暗くて地味そうな子がこちらへ歩いてくる。

学級委員なんて厄介なものに選ばれて、テンションがおちているうえに彼がパートナーだなんて…

大変な高校生活になりそう…

「よ、よろしく。白石さん…」

メガネを押し上げ私と目もあわせずに彼は挨拶をした。

「よろしく」

私は苦笑いでそれに答えた。

「学級委員は今日の放課後に一年A組に来てください。では、以上です」

先生の言葉とともにチャイムが鳴る。

私はため息をはき、授業の準備をした。

「鈴音っ。次の授業はデッサンだよ。移動しなくちゃ」

アンジュが私の腕をグイグイと引っ張る。

私もうなだれながらアンジュと一緒に教室を出た。

ボーッとしながら美術室へむかう。

すると急に横から光が私の目を襲った。

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