記憶〜切愛〜
場所を移動して、お兄ちゃんの家に私たちはきた。
勉強を教わると言っても、教えてもらうのは絵の勉強だ。
私は白石鈴音(シライシ スズネ)中学三年生。
美術の学科のある学校に行きたくて、それには試験で三十分間以内に絵を描かなくてはいけない。
私は絵を描くのに時間が掛かってしまうから、お兄ちゃんに書き方を教えてもらっている。
お兄ちゃんは画家で美大を首席で卒業した、将来有望な人だ。
そこそこかっこいいのに今まで彼女がいないのがたまに傷。
「ほれ。さっさっと食え!」
お兄ちゃんはパンを私の方に投げた。
「んで?テーマは決まったのか?」
「ぜーんぜん?」
「アホか!テーマがなきゃかけねーだろ!」
「だって…」
私がうつむくとお兄ちゃんがスケッチブックにさらさらと絵を書き始めた。
最初は薄い楕円。
その円のなかに更にいくつかの楕円。
それが手や足の形に徐々に近づき、頭だと思われる円に髪を書いて。
表情を書いて、服を書いて、まわりの景色をざっと大雑把に書く。
真ん中の円は少女にかわり、丁寧に色づけをされて、後ろはティッシュでぽんぽんと軽く色づけをする。
真ん中の少女が一番目立つ淡い絵が完成した。
「題名は遅刻した少女」
勉強を教わると言っても、教えてもらうのは絵の勉強だ。
私は白石鈴音(シライシ スズネ)中学三年生。
美術の学科のある学校に行きたくて、それには試験で三十分間以内に絵を描かなくてはいけない。
私は絵を描くのに時間が掛かってしまうから、お兄ちゃんに書き方を教えてもらっている。
お兄ちゃんは画家で美大を首席で卒業した、将来有望な人だ。
そこそこかっこいいのに今まで彼女がいないのがたまに傷。
「ほれ。さっさっと食え!」
お兄ちゃんはパンを私の方に投げた。
「んで?テーマは決まったのか?」
「ぜーんぜん?」
「アホか!テーマがなきゃかけねーだろ!」
「だって…」
私がうつむくとお兄ちゃんがスケッチブックにさらさらと絵を書き始めた。
最初は薄い楕円。
その円のなかに更にいくつかの楕円。
それが手や足の形に徐々に近づき、頭だと思われる円に髪を書いて。
表情を書いて、服を書いて、まわりの景色をざっと大雑把に書く。
真ん中の円は少女にかわり、丁寧に色づけをされて、後ろはティッシュでぽんぽんと軽く色づけをする。
真ん中の少女が一番目立つ淡い絵が完成した。
「題名は遅刻した少女」