初恋は夢の中
「スマン…」
先生は私の気持ちを、知っていたかの様に言った。

そして、続けた。

「先生と美和子とでは、歳が余りにも離れすぎている。美和子には、もっと歳相応の彼を見つけた方が幸せになる。それに、先生と生徒の関係上無理だ。」先生は、当たり前の事を口にした。


「先生と生徒じゃなきゃ、イイの?」

「もし、お互いに好きな人がいなかったらな。美和子には、まだやらなくてはいけない事、これから経験しなくてはいけない事が、沢山あるはずだ。その為には、勉強して一番になれ!そして、やりたい事を見つけろ。」


私は、静かに頷いた…。



「先生…」

「んん?」

「……キスして…… 。どこでもイイから… 。最後の我が儘聞いて……。」
そう言って、私は目を瞑った。



先生は、震える私の肩に手を置き、唇にキスをしてくれた。



先生の唇は、思った以上に柔らかく温かかった。



そして、最後にギュッと抱き締めてくれた。


先生の体も、震えていた…



照れながら、顔を合わせて二人で笑った。



そしてそのまま、私は家に帰った。



その日から、私は泣かなくなっていた…


私の、ファーストキス…


先生で、良かった…



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