初恋は夢の中
― ガタガタ ―
― ガチャガチャ ―
― ギィー ―


何か、壊す音だ。
私は、恐る恐る階段を降り、音のする方を見た。


音は、玄関からだった。
そして、正にチェーンを切る最中…。



― まずい… 逃げなきゃ… ―




慌てて桃子の所へ向かった。
「桃子っ!来て!逃げるよ!」

「えっ!」桃子は、真っ青な顔で立ち上がった。

「早くっ!」

桃子の腕を掴み、先生と私の寝室に入る。


そして、隠し部屋に入り息を殺す…



ギィ… ギィ… ギィ…

足音が近づく…



桃子は震え、私にしがみついた。

私も、桃子の手を握った。


バンッ!!
ドアが、勢いよく開いた。


私達は、ドキッと驚いた。


― どこに居るんだぁ~ ―

― 出てこいっ!! ―

― 居るのは 知ってるんだからなぁ~ ―


男は、酔っ払っているらしい。

時々、ドタッと転ぶ音や、意味不明な言葉を発した。



― おぉ~い!も~も~こちゃ~ん! ―

― 出てこい!って言ってんだろぉ~ ―


桃子は震えながら、
『な、なんで私の名前言ってんの…?』

『桃子、この声!?どっかで、聞いたことない?』

『えっ… そんなこと言われたって…』

『確かに聞き覚えがあるんだけど…』

『 … … 。』



男はまた、違う部屋で暴れた…



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