シュウ教授の怪しい研究室
由香里は私の身の上を全て知っている唯一の人間
それもあって、何かと世話になっているのも事実だった
由香里宅の晩御飯を恵んでくれたり
帰りの掃除当番変わってくれたり
時には内職仕事を手伝ってくれたりと、様々だ
「いや、その…新しいバイト見つけたんだけどさ」
私が浮かない表情をしていたのか
心配そうに由香里が顔を覗き込んできた
「……ヤバい系?」
「相当ヤバい系」
真顔で聞いてきた由香里に真顔で返してみる
「これは、世も末だな繭。危ないことには手を出すなとあれほど口を酸っぱく、酸っぱく、酸ーっぱく言った私の教えを破ったのか!貴様は!?」
「そんな教え初耳だし!つーかそんなに酸っぱい言葉強調しなくてもいいでしょ!」
いつからこんな漫才みたいなやり取りするようになったんだろう
ノリがいい由香里の発言に突っ込んだのが元々で
それから……
“誰ですか?”
ふと脳裏によぎった先日の出来事
思い出した瞬間で
自分の顔が一気に赤くなっているのがわかった
「どした?ほっぺたが林檎みたいに赤いぞい」
学校が終わったあとには
あの怪しい研究室で怪しい教授が私を待っている