シュウ教授の怪しい研究室
実験1
今日から一号で
「ここかぁ」
有名大学院にあるとある一室
高校生の私には決して無関係のこの場所に呼び出されたのは
つい数日前の事だった
正月一発目にかかってきた
バイト先からの電話
『あけおめぇ繭ちゃん』
「社長!あっ、あけましておめでとうございます」
昨年還暦になって突然オネェ系に走った社長
小さな缶詰め工場を経営していて
私はそこで唯一の社員(というのも私しか働いていないのだが)
三が日は休みで仕事初めは四日からのはずだった
「どうしたんですか?」
『あのねぇ、新年早々わるいんだけど、工場倒産したから』
――はぁあああああ!?
倒産!?
あまりにも予期せぬ言葉に、手に持っていた濡れせんべいがポロッと床に落ちた
「えっ、ええ!?」
パニック状態の私とは正反対に
電話の向こうでは宴会のドンチャン騒ぎの音が聞こえてくる
『だからもう来なくていいからねっ。おっつ~』
「ちょっ!しゃ――」
私の言葉を最後まで聞かずに電話を切った社長
いきなりのクビ宣告……
年始から縁起が悪すぎるっ!
しかし全ては後の祭りだった