シュウ教授の怪しい研究室
諭吉が300人
立春過ぎてもなお寒さは平行線のまま
各地で雪が街中を白く染め
暦の上ではもう春なのに
冷たい北風は全くその気配すら感じられない
ハァッ…
口から出る白い息
朝晩の冷え込みはとても厳しく
歩くだけで顔面が痛い
いや、痛いってのは傷みってことね?
イタいと痛いは意味が違いますよ
いや、むしろ私の顔面はイタよりイケ……
「ういっ」
「――ぎひゃぁぁあっ!」
小説を読む読者様とお話中に
突然背後から背中を叩かれ頭のてっぺんから出したような声をあげる私
「何朝からブツブツ言ってんの。寒さで頭イカレちゃった?」
相変わらず、人の怒りを逆なでするような言い方で横に並んだのは海翔だ
「イカレてませんからっ」
「あ、今から始まったじゃねぇわな。むかーしからだもんな」
海翔と全くもって無意味な会話をしながら、学校の門をくぐる
「あ、お前のチャリさ学校終わったら取りに来いよ。ちゃんと点検もしといてやったからよ」
「あ、今日バイトなんだ。明日の朝じゃ無理?」
「まぁ…お前がいいならいいけど」