シンデレラ★バレンタイン
* * *


「ご、ごめん!お待たせ!」

「いやー別に。つーか何、今日誰もいねぇの?」

「あ、うん。お母さん、仕事泊まりになっちゃったし。お父さんも出張行ってて…。」

「お前、一人なわけ?」

「うん。って言っても今日だけだけど。」

「…なんだよ、危ねぇじゃん。そういうことは先に言え。」

「え?」

「真姫、一人でいるのあんまり好きじゃねーじゃん。結構怖がりだし。」

「そ、そんなことないもんっ!」

「そんなことあるっつーの。
つーかさぁ、二人っきりとか…久々、だよな。」

「…っ…!」


不意に真剣な表情に変わって、あたしの心臓がきゅっと苦しくなる。
そして、ゆっくりと瞬の顔があたしの肩の上に乗った。


瞬の吐息が首筋に触れて、くすぐったい。
心臓がドキドキいって、うるさくて、身体中が熱い。


「…いーにおい。ちょっとチョコのにおいするし。」

「しゅっ…瞬っ…!」


あたしが少し動揺した声をあげると、瞬はすっと離れた。
…少しだけ、寂しそうな、切なそうな顔をして。

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