シンデレラ★バレンタイン
「さ、触っていいよ!も、もう大丈夫だからっ!」

「…へ?」


な、なんてこと…言ってるんだろう、あたしっ!
でも…瞬に悲しい顔、してほしくない。
それにあたしだって…


「…ごめんね、瞬。」

「何が?」


瞬がゆっくりと振り返った。
それでもあたしは、なんだか顔を上手く上げられない。


「あたし…っ…な、慣れてなくって…。
だから、瞬のこと…その…ちゃ、ちゃんと…その…す…好き…なんだけどっ…。
でも、恋人っぽいこと…は…恥ずかしくてっ…。」


そこまで言って、あたしの言葉は途切れた。
不意に腕を引かれ、瞬の大きな胸にぎゅっと抱かれる。


すぐ耳元に、瞬の顔がある。
瞬はあたしの肩に顔を一度埋めて、少し顔を離した。


「…分かってた。恥ずかしがってんのは分かってたよ。」

「でも、あたし…自分のことしか考えてなくてっ…。
瞬、あたしがビクってする度、悲しそうな顔…してたのもあたし…知ってたの。」

「……。」

「だから今、こうやってぎゅってしてくれて…は、恥ずかしいのは変わんない…けどっ…でも、やっぱり…嬉しい。」


とてもシンプルで、素直な気持ち。
今、瞬が抱きしめてくれることが嬉しくて仕方がない。

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