シンデレラ★バレンタイン
* * *


「はいっ!ガトーショコラ!」

「おぉ!見た目美味そうじゃん!」

「…見た目だけじゃないこと…祈ってます。
てゆーかどのくらい食べる?」

「4分の1?」

「え、そんなに?太るよ?」

「別に太ってもいいし。」

「…言ってみたいーそんなセリフ。」

「真姫、全然重くねぇじゃん。ちょっと引っ張っただけで抱きしめられちゃうくらい軽くね?」

「隠れ肥満なの!」

「ぷっ…んなこと言うなよなー正直者。」


コツンと軽く触れた手が、言葉とは裏腹に優しい。
それになんだか嬉しくなって自然と笑顔になる。


「…ど、どーぞ。」

「数学教えてやったんだから食べさしてよ?」

「は?」


目の前には目を閉じて大きな口を開けた瞬がいた。


「…ねぇ、本気?」

「本気。ちょっと憧れてたんだよなー『あーん』ってやつ。」

「ねぇ、本気なの?」

「本気だっつってんだろ。」


…本当の本当に本気らしい。
あたしは覚悟を決めて、切ったガトーショコラを瞬の口に運んだ。


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