シンデレラ★バレンタイン
「え…っと…これ、俺がもらっていいの?」

「いらないなら私が食べるわ。」

「いやいやいや!いります!絶対必要です!つーかいただきます!」


そう言って私の手から箱を奪う。
その瞳はいつも以上にキラキラしている。
…言ってしまえば、カメラに触れている時と同じくらいに。


「里穂からは絶対貰えないって思ってたからすっげー嬉しい!
ありがとう!」


満面の笑みでそう言う貴也に自然と頬も緩む。
こういう真っすぐさに私はどうやら弱いようだ。


「はぁー!可愛い!里穂、超可愛い!」

「え?」

「最近ちょっとだけ笑うこと増えたよなー俺といるときも。
ま、真姫ちゃんといる時の方がナチュラルではあるんだけど。」

「…そう…かしら?」

「これ、真姫ちゃんと作ったの?」

「ええ。」

「ってことは親には真姫ちゃんとこにいるーって連絡してるんだよな?」

「まぁ、そうね。」

「遅くなるって連絡してくんね?」

「…どうして?」

「俺がもうちょっと里穂と一緒にいたいから。な?」

「…分かった。」

「よっしゃー!じゃ、寒いし、早く乗って乗って!」


貴也に背中を押されるがままに車に乗り込み、貴也がドアをバタンと閉めた。


「んじゃ、しゅっぱーつ!」


…今日の声のトーンはいつも以上に高い。

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