シンデレラ★バレンタイン
だってシンデレラは確信犯でしょう?
追い掛けて来てくれると分かっていた。


ただ、少し臆病だっただけ。


灰かぶりに戻った姿を見られた時に、幻滅されてしまうのではないかと…。
ほんの一筋の不安がよぎった。


でも、心のどこかでは分かっていたの。
王子様はきっと、追い掛けて来てくれる、と。





「つーかまーえたっ!な?俺の方が速いだろ?」





背後からぎゅっと強く抱きしめられる。
さっきまで風が冷たく感じられたのに、今は風なんてほとんど感じない。


触れる熱も、体内の熱も熱くて熱くてたまらない。


…シンデレラも、本当はこうされたかったのかしら?


背中から伝わる温もりに、少しだけ体重を預けてふと、そんなことを思う。





「…シンデレラの気持ち…ってこんなものよね、きっと。」

「え?」

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