シンデレラ★バレンタイン
「追い掛けてもらいたいだけなのよ。ただ、単純に。
好きな人に、離さないでほしかった。…本当にそれだけ。」

「それじゃ、俺は〝すき〟と言えないプリンセスを捕まえたわけだ。」

「…言ったじゃないの。」

「まーそうだけど。絶対俺の方が言ってるし。」

「そんなくだらないことを言う人を好きだとは言ってないわ。」

「うわーひでーっ!」

「…たまには、ちゃんと伝えるわよ。」

「え…。」


腕の中でくるりと向きを変え、少しだけ背伸びをする。
そっと、ほんの少しだけ私の方から唇を重ねた。


「…っ!」

「伝わった…かしら?」

「…っ…じゅっ…充分伝わった…けどっ…!
も、もう1回してっ!」

「調子に乗らないで。寒いから帰るわよ?」

「えー!もっかいもっかいー!」

「私からはもう絶対しないわよ!」

「えーじゃあ俺からするからこっち向いて!」

「寒いって言ってるでしょう?」

「…だったら俺の腕の中にいればいーじゃん。」


不意に腕を引かれる。
…言葉ではいくら言い負かせても、力では全く敵わない。

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