すれ違う恋の行方
追っ手はすでにもういなくて
電気の消された家には、あたしたち二人だけ。


秀がパチッと電気をつけると、そこは極普通の家だった。



「ここ…俺んち」

『あ、そぉなんだ…』

「しばらくここに非難してればいいから。
 落ち着いたら送ってくよ」



そう言うと、秀はあたしの手を引いて中へと導いた。

『家の人は?』
「うち、片親だから。母親は他界して、父親は単身赴任中」
『そぉ…なんだ…』


それを聞いてビックリした。

秀はそんなことを微塵も感じさせないほど、いつも明るいから…。
だからそんな家庭事情だとは、思ってもみなかった。


思えばあたし、秀のこと何も知らないのかも…。


秀は持っていたコンビニの袋を床に置くと、くるっとあたしのほうへ向き直った。
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