すれ違う恋の行方
『いいって…。春樹は皐月さんのことを忘れられなくて、北条さんと別れたんじゃないの?』

「……違うよ…」


春樹はあたしの質問に、曖昧な笑みで返すと
また歩き出してしまった。


あたしも仕方なく、春樹の後ろを歩く。


『じゃぁ…なんで別れたの?』


あたしは一歩先を歩く春樹の背中に投げかけた。


「だから忘れられない女がいるからって、真奈が言ってなかった?」

『それが皐月さんのことなんじゃないの?』

「さぁ…?」


あたしを試すかのように、笑いながら答える春樹。

あたしにはもう、春樹の考えていることがわからなかった。

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