すれ違う恋の行方
『イイ男が台なしだね』
「まったくだ」


と、イイ男と言うことを否定せずに、春樹はゴシゴシと自分の頬をこすっている。


「落ちね~」
『そりゃ、油性ですから』
「はっ?」
『嘘だって~。顔洗ってきなよ』
「てめぇ…」


春樹はあたしを睨むと、「覚えてろよ」と言い残してさっさと顔を洗いに行った。

ほんと、からかいがいのあるヤツ。

あたしは去っていった春樹のほうを見ながら、満足そうに笑った。


「あんたらも懲りないねぇ」


と言いながら、誰かが後ろから声をかけてきた。


『ミホっ』
「なんか小学生の喧嘩見てるみたい」


ミホは呆れながら笑うと、そのまま春樹の席に座った。


ミホとは新学期の始めに席が前後で、すぐに気が合い仲良くなった。

性格はサバサバとしていて、裏表のないコ。
人の気持ちをよく理解してくれる、すごくいい子だ。

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