赤い狼 四





「稚春、棗が一番好きです。」



「え?ありがとう。でも俺、今ちょっと危険な状態かも。」




感動しすぎて机に乗っかり、棗の手を握ると棗は優しく笑った後に苦笑いをした。




「危険な状態…?」



「うん。殺されそう。特に稚春の斜め左の人に。」




首を傾げながらチラッと左側に向けた棗の視線を辿る。



そして見た瞬間、



「ひっ!!」



視線をすぐに元の場所に移した。




それは何故かというと、隼人が物凄い負のオーラを出していて、軽く人を一人殺しそうな目をしていた。




お、おぉ寒気がする。


ブルルッと体を震わせて棗を見ると、棗はフワッと凄く柔らかく笑った。



負のオーラを見たから倍眩しいです。



…と、そんな事を思っていると棗が


そういえば…


と話しだした。



さっきの棗の極上スマイルで気分がぃぃ私は、何々?と目を輝かせて棗の次の言葉を待つ。



でも私はこの時、棗の口元がニヤリとなった事に気付かなかった。




「で、昨日は何で来れなかったの?理由は?」




ニッコリと笑いかけて首を傾げる棗。




< 10 / 457 >

この作品をシェア

pagetop