赤い狼 四
「稚春、棗が一番好きです。」
「え?ありがとう。でも俺、今ちょっと危険な状態かも。」
感動しすぎて机に乗っかり、棗の手を握ると棗は優しく笑った後に苦笑いをした。
「危険な状態…?」
「うん。殺されそう。特に稚春の斜め左の人に。」
首を傾げながらチラッと左側に向けた棗の視線を辿る。
そして見た瞬間、
「ひっ!!」
視線をすぐに元の場所に移した。
それは何故かというと、隼人が物凄い負のオーラを出していて、軽く人を一人殺しそうな目をしていた。
お、おぉ寒気がする。
ブルルッと体を震わせて棗を見ると、棗はフワッと凄く柔らかく笑った。
負のオーラを見たから倍眩しいです。
…と、そんな事を思っていると棗が
そういえば…
と話しだした。
さっきの棗の極上スマイルで気分がぃぃ私は、何々?と目を輝かせて棗の次の言葉を待つ。
でも私はこの時、棗の口元がニヤリとなった事に気付かなかった。
「で、昨日は何で来れなかったの?理由は?」
ニッコリと笑いかけて首を傾げる棗。