赤い狼 四





この予想は当たって欲しくない。






「隼人、お前…まだ"ひな"が好きとか言わないよな?」






暫くの沈黙。


俺を漆黒の瞳でジッと見据えてくる隼人に鳥肌が立つ。



日本離れしたその顔は何を考えているのか。




探ってみるけど全く分からない。ただ、色のない瞳で俺を射るように見てくる隼人は何を思って、何を考えているのか。




隼人しか、分からないんだろうな。




と、誰も喋らない空間の中、隼人が徐に口を開く。





「……………さぁな。」





相当な間を空けてポツリと呟くように返答をした隼人に顔を顰める。




「さぁなって、お前っ!」



「煙草吸いに行ってくる。」



「おい、待てよ隼人!」




俺の言葉を最後まで聞かずにドアへと向かう隼人を追う。




「さぁなって、どういう意味だよ!」



「そのままの意味だ。稚春、今日はもう帰れ。悪いな。」




振り向く事はせずにそのままドアに向かう隼人にイラッときた。





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