赤い狼 四
「ふざけんな!ちゃんと答えろよ!」
「答えただろ。もうこの話は終わりだ。」
「おい!隼人!」
――バタンッ――
結局、俺の呼び掛けに応えずに部屋を出ていった隼人。
「なんだよアイツ!」
――ガンッ――
思いっきり壁を蹴る。
むかつく。
「奏、そんなにイライラするな。」
「隼人がはっきりしない答えをしてくるからだろ。」
「そんなの、手紙見てた時の表情で分かるだろ~がよ。」
頭を掻きむしる俺の頭をポンポンと軽く叩きながら銀が右の口角を上げた。
「…は?じゃあ銀は隼人があの女の事を好きでいるのかどうか、分かったって言うの?」
「勿論。」
疑問の目を向けると、銀が自信ありげに大きく頷く。
それを見て、更に疑惑が大きくなった。
「おいおい、そんなに疑うなって。」
そんな俺の気持ちが伝わってきたのか、銀は俺の肩に肘をついてフッと笑った。
そして、その後に真剣な表情をして
「アイツは…隼人はまだ、あの女のことが好きだろーよ。」
俺の聞きたかった答えをいつもより低い声で言い放った。