赤い狼 四
この前学校の皆が噂してる話を聞いたけど、ある事ない事囁かれてた。
私はそれが腹立たしくてその日、《SINE》に行った時に隼人に怒りながらその事を伝えたっけ。
でも、隼人はあの時こう言ったんだ。
言わせとけ。って。
噂させとけ。って。
あの時、何で隼人が怒らないんだろうって不思議でたまらなかった。
でもその後に銀に教えられて知ったんだ。
今までそんな事がいっぱいあったって事を。
暴走族で恐れられて、文句言われて、身の覚えがないような事を言われて、喧嘩したくもないのに売られて。
でもそれでも隼人は、隼人達は何も言わないで黙ってた。
それは自分達が相手にしたらその人達と一緒のレベルになってしまうから。
頭が冷静でしっかりしてないと《SINE》が潰される原因になるから。
だから内心は、はらわた煮えくり返るくらいムカついても、それで落ち込んでしまう事があっても
ただ、黙ってそれを全部無視して、たまには受け止めて。
それが繰り返し、繰り返し。毎日毎日あって。
でも、それでもめげずに耐えて《SINE》がここまで大きな族になった。
それは、《SINE》の上に立つ人達が
隼人達が居たから。