赤い狼 四




「だって捕獲される!!」



「バクテリアにでもなって鮫に食われろ。」




隼人が机の上にあった雑誌で私の頭をスパーン!と叩いた。




「う、うむ。ぃぃツッコミだ。」



「そうか。お前がゴキブリだったら思いっきり殺…叩いてやったのにな。」




おい、今の完璧"殺す"って言おうとしただろ。




私がギロッと隼人を睨むと隼人は私を叩いた雑誌を広げて暢気に口笛を吹きながら読んでいた。


くそう、ムカツクぜ。


まぁでも、やっと落ち着いた。何だったんだ、今のは。



というかさっきの妄想の原因は全部棗だ。




ジロッと棗を睨むと棗は涼しい顔で私に笑いかけていた。



いや、そんな顔で見つめられても私の心は今ブロークンハートですから。



そう思って眉を下げると棗はクスッと笑った。



悪魔だ。






棗さん

優しい顔で

毒を吐く




一句できた。




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