赤い狼 四
やっと正気を取り戻し、話を進めようと口を開いた時、
「おっと、稚春ちゃん。今度は誰にも邪魔されねぇ頭の中で妄想かぁ?」
HE・N・JI・N銀が私の声を遮った。
「なーに、俺にも聞かせろよ。あ!もしかして、この俺の逞しいボディーを見てあーんな事やこーんな事を想像してたのか?
おー、意外とエロいじゃないの。稚春ちゃんよー。んじゃ折角だし近くのデパート裏の"ゼアン"っつーラブホ「行きませんっ!!」」
私は感じた。
間違いだったと。
HE・N・JI・N銀ではなく、HE・N・TA・I銀だったと。
「…お前等マジで静かにしてくれ。」
隼人がフーと長く息を吐いた。それはもう、長いってもんではなかった。
もしかしたら、そのため息でオリンピックに出場でき「変な妄想してんじゃねぇ。引きずり倒すぞ。」
途中で妄そ…想像を隼人に中断された私は渋々、隼人達の話に耳を傾ける。
大体、引きずり倒すって何なんだ。普通、逆でしょ。倒してから引きずるのが常識でしょ。
いや、常識ではないか。