赤い狼 四
―――すなわち、これはクリスマスパーティーらしい。
「稚春!早くクラッカー鳴らしてよ!じゃないとクリスマスパーティーが始まらないじゃない!
せっかく学校サボってのクリスマスパーティーだっていうのに…。もう、貸しなっ!!」
「あ、」
今、自分が置かれている状況を確認しようと辺りを見渡していると
青色のクラッカーが私の手の中から素早く姿を消した。
――パンッ!――
それは、今まさに楽しそうに私の分まで鳴らした実が取ったからで。
「学校…行かなきゃ。」
「はぁ?今更なに言ってるの?」
「もう私達は風邪で休みって言ってずるして休んだんだから行ったら逆におかしいよ!」
「本当よ。何考えてるの、稚春ってば。」
ふんっ、と勢いよく私から顔を背ける実に、ごめん、と眉を少しだけ下げて謝る。
まぁ、確かに楽しんだ方がいいかもしれない。今の状況だったら。
実と香が
「girlsタイムッ!」
と言い、二人だけで話に花を咲かせているところを眺めながら、チラッと昨日の夜にあった電話の事を思い出す。