赤い狼 四
『ねぇ、もう真面目に学校行かなくていいわよ。それと、街を出るまでは好き勝手していいわ。』
それだけ言って、一方的に電話を切ってしまった"あの人"。
何なんだ。今までは優秀でいろ、真面目であれ。ってあれだけ煩かったのに。
何か企んでるのかな。
まぁ、学校に真面目に行かないでいいのは嬉しくて仕方がないのは確かだけど。
でも、本当に何で急にそういう考えになったんだろう。
ん?と首を捻る。
すると、頭に鋭い痛みが走った。
「いたっ!」
「girlsトークそっちのけで考え事とは何事か!!」
「そうだよ~!一番は稚春の最近の出来事とか《SINE》についてとか話したいんだから~。」
頭の痛みの原因は実だ。実が右手を私に気付かれないように擦っていた。
畜生。こやつ、メチャクチャいいチョップかましやがる。
いてて、と顔を歪ませて今日は丁寧に巻かれいる香の髪の毛を見る。
気合い入ってんな~。
思わず、おおっ!と声を漏らしてしまったじゃないか。
ふう、と息を一つつく。