赤い狼 四





「大丈夫。心配いらないわ。」



「うん。心配いらないよね~。だって私達の家、自営業だし~。」



「私の親、美容専門学校の学校長だし。」



「ん!?」




一瞬、自分の耳を疑った。…今、何て言った?




「まぁ、そういうわけで私達は大丈夫なんですよ稚春さん。」



「そうなの~。もう就職先決まってるし~。進学先決まってるし~。」




だから心配無用だよ~。と最後まで呑気に喋る香を口をぽかんと開けて見つめる。



マ、マジか…。



実と香にそんな立派な親が居たとは…。知らなかった。




「早く話そうよ~!」



「そうね。ほら、稚春!いつまでボーとしてるの。もう女子会は始まってるのよ!」




呆然とする私をよそに、実と香が語る間に食べるためのお菓子の封を開けていく。



…何でそんなに切り替え早いんだ。



塚、今までずっと友達だったのにそんな事も知らなかった私もどうかと思うけど。



くしゃ、と頭を掻く。



―――それもそうか。今までそういうのなんて聞いた事もないし、話した事もないんだから。




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