赤い狼 四





でも、隼人の手には携帯。




『隼人?』




その携帯からはまだ、"妃菜ちゃん"の声が聞こえてくる。




「ズルい人。」




隼人の目を見つめながら静かにそう、告げて。




今度こそ、その場から立ち去った。




――バタンッ――






――――扉の閉まる音が、妙に静かに響いた。





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