赤い狼 四
「あ。そういえばさ。」
思い出したんだけど、と掌に拳をポンッと押し付けながら言うと朋さんが、んー?と間延びた返事を返してきた。
……なんか自分が間延びた返事を返すのは全然いいんだけど返されると結構腹立つもんだな。
自分勝手な事を考えながら少し頬を膨らませる。
「で?何だよ、思い出した事ってよ。」
でも、私のその行動には一切触れずに話を進める朋さん。
さすが、伊達に長年生きてない。私のちょっとした攻撃もまんまとスルーでかわすとは。
心の中で盛大な拍手を送りながら、あのね、と話の続きを口にする。
「前の例の件、オッケーなの?」
「お。準備オッケーだぞ。冬休み入って二日後がアイツ等は暇だぞ。
調べといたぞー。この素晴らしいイケイケな朋さんが。」
「やるじゃんっ。さすが朋さ~ん。イカすー!!よっ!世界一!!」
ヒューヒュー、と口笛を吹いて両手を叩く。
私におだてられた朋さんは鼻の下を十センチくらい伸ばしていた。
スゲェ、感心。
「…………お前ら、何してんだ。」
―――と、馬鹿な事をしていたらいつの間にか《RABBIT》に着いていたらしい。
早い。